統合失調症の池上大典さんとラーメン八雲に行く事になった。事前に電話で連絡を取り合った。「外が寒いんで、タクシーに乗って行きましょ。あなたが支払うのは、300円で良いですよ」「片道300円ですか?良いですよ」池上さんと2人でラーメン八雲に行って来る事になった。一週間前から約束していた。浦河教会から10分位で、タクシー代が片道1100円でラーメン八雲に到着した。私は300円だけ支払った。私が950円の塩ラーメン大盛りを注文して、池上さんは辛味噌ラーメン大盛りにメンマのトッピングをしていた。すると、統合失調症の青柳武志さんが、偶然、ラーメン八雲にやって来た。挨拶だけを交わしたが、少しだけ気まずかった。「(グループホームの)ニューカナから小川和加子さんの家まで、タクシーで幾ら掛かりますか?」私は池上さんに聞いた。「1200円ですね」「片道1200円ですか?高いですね」テレビのある端の席に座ったので、「名探偵コナン」と会話が混ざったりしていたが、池上さんにはお父さんがこういう風に接していたんだろうなと見当が付いた。生活保護と障害者年金でやっていると言っていたが、金の出どころがいまいち不明であった。「人を信じるっていう事が大切なんですよ」池上さんに言われた時に、お父さんが子供に接する様な会話だという感覚を受けた。青柳さんが、本当にたまたま、ラーメン八雲に来たのか、裏で池上さんと約束していたかの判断が取れなくなっていたので、池上さんに確認すると、「俺はラーメン八雲に来る事は言ってないですよ」と言われて判然とした。ただ、何を喋っているかが不明になって来る現象みたいなのはあって、ラーメンを食べながら喋っているんだが、内容は聞いていなかった。会計の時に、青柳さんの眼の動きから、「俺を誘わなかったな」というメッセージを汲み取ったりしたが、3人共、40歳前後の統合失調症の患者さんなんだが、「統合失調症を抱えていても、社会参加していて凄い!」という感じであった。私は池上さんに話し掛けた。「帰りは、ラーメン八雲から浦河教会まで歩かないですか?セブンイレブンに寄ったりして?」「えー。歩くんですか?」「喋った方が楽しいじゃないですか」気温は2℃しかなかったが、ラーメン八雲から浦河教会まで歩く事にした。「人を信じる事なんですよ。そうすると、信じるという気持ちが返って来ますからね」池上さんのお父さんがこういう感じなんだろうなという事は一つにあったが、何を喋っているかは分からなくなって行った。池上さんは浦河に来て、「語る事の大切さ」を身に付けていた。
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