「浦河町に戻って来る前に、広島に居たよ」と聞いた時に、「(北海道の)北広島ですか?」と聞いてしまった。私もすっかり北海道の人になった。お互いに体調が良い時で良いから、「10年間の出来事」を聞ければ良い。「15歳から25歳までの10年間の出来事を話して下さい」って、上から目線だが資本主義だから良いのではないだろうか。「木村梢さんは何歳になったんですか?」木村明子さんに聞いた。「18歳」テニスの‘監督’をしてくれていた頃は8歳であった。アッという間に時は流れる。木村明日香さんには「テニスを一緒にやった」という事が良い思い出になっているんだろうか。あの頃の事を思い出したりもするのだろうか。私も焼き肉をやってくれた人に恩義を持ったものであった。15歳から25歳までの10年間というと気の遠くなる様な歳月である。冷凍いちごの作業をしていると、お金を稼ぐ事が出来る上に、人と話す事が出来る。2万円の自転車を買う事。これが私の目標である。「テニスを一緒にやってくれた」という事が、当時、15歳であった女の子にとっては大切な思い出になっている。冷凍いちごの作業は続いた。有本克行さんというメンバーとも会話をした。「パセオでは週に何日働いているんですか?」「3日ですね」「パセオに行く日は、何時に起床するんですか?」「5時半です」「生まれは何処なんですか?」「生まれたのは余市です。転勤族だったので、室蘭とか江差とか札幌にも住みました」「札幌は何区に住んでいたんですか?」「手稲です」「手稲って、地下鉄は走っていますか?」「地下鉄は走っていないですね。JR手稲駅があります」「札幌駅まで、どの位掛かるんですか?」「30分位だと思います。1時間に3~4本です」冷凍いちごの作業をやる事によって、お金を稼げるのは勿論であるが、人と会話が出来るのが良い。私は麻雀や将棋が出来ないから、「武田ハウスの麻雀大会」には行けないが、冷凍いちごの作業で仲間が出来れば良い。人に依存するとトラブルになるから、パソコンに依存する方が良い。当面は、自転車を買う2万円を稼ぐ為に、冷凍いちごの作業をしなければならない。自転車がないと不便である。木村明子さんは会話を続けた。「梢が外国人に狙われてさ。一人で歩けなくなっていてさ」冷凍いちごの作業は午後2時45分まで続いた。交流会やテニスで関係が作られる。やはり、身銭を切って遊ぶ人は甘くないのだろうか。39歳にもなると、わざわざ、交流会やテニスをやるという感じにはならない。「何で、交流会なんか出とるか分からんねん」吉井さんも、多分、そう思っていたはずである。仕事を一緒にして行く中では、中々、そういうつながりは出来ないのではないだろうか。テニスや交流会をやると、職場では見た事のなかった笑顔が見られたりする。「えっ。この人にこんな一面があったの?」とか「こんな笑い方をするんだ!」と思って打ち解けたりする。そこにチャンスがある。
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