「抜きどころを消す」みたいな、高度な世界があるが、べてるの家という所は、暇を持て余す。実家からだと、外出してしばらくすると、すぐにプレッシャーを掛けられていたが、浦河町では、どちらかというと無視されている。そこでプレッシャーを掛けられると、暴れるだろうなとか、そのポイントを押さえられると、不眠症になるだろうなという事もあるが、知恵を創出する時間があるだけ有難いと思うべきだろうが、暇疲れして、金がないというのが現実である。都会で生活している人達は、地下鉄に揺られていたりするから、ボーッとしている事も多いだろうが、田舎の人達は非常にクリアに物事を考える事が出来る。研究者の知と専門家の知と当事者の知を融合させて作る、ＣＯ‐ＰＲОＤＵＣＴＩＯＮ（共同創造）というのが、「場の力」のある浦河町では、散見される。力を付けた統合失調症の当事者は、健常者よりも仕事が好きで、趣味にのめり込んでいる。ただ、それが浦河町に来てから２０年とかの歳月を経ての事であったりするので、北海道外や札幌市から１日３本しかバスの出ていない浦河町に希望を託して移住して来たりするというのは、辞めておいた方が良い様な気がする。成功者ばかりが講演会で喋ると、「違う。そんなの何も現実と関係がない」と思えてしまう。現実が分かっている人達は、縁の下の力持ちになる傾向があるので、講演会で喋るというポジションは与えられない。「最近では、浦河ひがし町診療所は、統合失調症の人を新しくは取っていないんだわ。日高振興局とか役場のストレス系の人達を取っているんだわ」という川村敏明先生の発言からしても、べてるの家の限界みたいなものに達しつつあるのではないだろうか。「餅つき大会は、病気の人達じゃなくて、健康な子供を呼んでやるらしいよ」と、仲間が言っていたが、したたかなビジネスであるとも思う。しかし、そのしたたかなビジネスが、男気とか任侠とか心の前に、もろくも崩れ去っている感がある。「場の力や仲間の力の持つ可能性」という事が、第一だろうか。
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