小川さんの家の思い出

べてるな日々

「自分の殻の中に閉じて行く」という感覚は分かるだろうか。小さな部屋に御昼御飯を食べに行くのも、人間関係は最小限に抑えたかった。「無為・自閉というのは自分の助け方の一つである」と言って来たので、殻を破られるのが嫌であった。先日は、べてるのメンバー2人で小川和加子さんの家に行った。私はもう既に開封されているカルピスウオーターを1本だけ提供しようとした。「口が付けてあるのは、駄目」こういう初等教育的な事は大切である。小川さんがコーヒーをポタポタと落とし出す。テーブルの真ん中には、おせんべいが15枚程。細長い昆布が、おせんべいに足された。小川さんはカルピスウオーターには手を出さなかった。「カルピスウオーターをさ、毎日、水みたいに飲んでいて、糖尿病になった人が居たんだって」しかし、休日だけの特別という事で、良い事にした。コカ・コーラとかを小川さんの家に持って行っても、多分、拒否されるだろう。1.5ℓのコーヒーとかは難しいが、お茶とか紅茶が妥当である。「休日くらい、羽目を外したい」という思いで、カルピスウオーターを持って行ったが、開封する前の物でなければいけなかった。小川さんだって、つぼ八に行った時に、ビールを飲んでいたじゃん。生協のお茶は180円位だから、自転車で行く時は、ついでに生協に寄って、買って行くのが良い。しかし、私は上手く喋れなかった。小川さんとべてるのメンバーさんがペラペラと喋ると、聞き取り専門みたいになる。ある程度は喋りたいという感覚はあるが、ある程度喋ると疲れるので、殻を作って聞き取り専門みたいになる。そのタイミングを見計らった様に、べてるのメンバーさんが言った。「さて、そろそろ行くか」そこまでのプロセスは、人によって違うというか、様々であるが、そこからのプロセスは、皆、共通であるという事が分かっている様な感があった。少しずつ言葉を発し出す。そして、自分なりの語りをし出す。そこまで行くと、ネタがなくなって、仕事の勝負を始めるという事が分かっているのだろう。べてるのメンバーさんみたいな流暢な語りには到達出来そうにない。聞き取り専門みたいな状態になると、知識を吸収して行くのが心地良くなる。喋る前に、まずは聞く事。不器用にであれば、喋れる様にはなるが、ネタがなくなると、仕事に邁進せざるを得なくなる。


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