雪景色4

ベてるな日々Archive

私の部屋のIHコンロは寝る前にカップラーメンを作る時に活躍した。戦争が終わり、炊飯器は主婦の睡眠時間を少なくとも1時間は延ばし、冷蔵庫は食中毒を減らし、洗濯機は主婦の手からあか切れを少なくした。高度経済成長期が終わり幸せのキーワードがモノからつながりに変わる過渡期を私達は生きている。エコノミックアニマルと言われながら右肩上がりの経済成長を成し遂げ、私達の国は豊かになった。しかし、液晶テレビをこれ以上薄くしても意味がない。キーワードはモノからつながりになっていく。病気や挫折はつながりを作るきっかけになる。私は23歳から約2年半の間、浦河日本赤十字病院の精神科デイケアに通いながら共同住居の台所で生協で買って来た魚を友人と捌いて、そこの居間で一緒に食べたりしていた。その後、精神科医になる為に26歳で浦河町から札幌市に引っ越して2年間、予備校に通い数学を中心に勉強ばかりの生活をしたが札幌医科大学医学部には成績が及ばず、アクシデントに遭った事もあり浦河町に戻って来て教会で生活している。29歳の時に浦河教会の部屋に入り4年目になるが夕御飯は毎晩、必ずべてるの家で食べていていつも総勢15名位の人が同時にテーブルを囲む。当時、61歳であったミスターべてるの早坂潔さんも居た。べてるの大先輩で、色んな教えを授けて戴いているが、仕事が終わって夕御飯を食べに行っている私はろくに気配りが出来ず、早坂潔さんが若い人達に気配りをするという不思議な状況である。私は早坂潔さんに父性を求めてしまい、30代、40代の他のメンバーより気に入られたいと思うが、いつも2番手、3番手になる。大切に扱われている方を見ると羨ましくなる。その中の2人の先輩がフィンランドに10日間行って来るらしい。私はパスポートとお金がないので行けず羨ましくて仕方なかった。出張に行くのはお金が掛かり、それを両親に出してもらうという情けない状態である。仲間がどんどん東京や大阪や名古屋や横浜の様な大都市に出掛けるにも関わらず、昆布作業で毎日出勤してやっとの事で月6、7千円を稼ぎ出すというのは非常にわびしいものがある。東京や大阪の様な所に出張に行きたいと伝えてもモノにならない人は連れて行ってもらえない。第12回日本統合失調症学会と半年も先の第17回国際理論心理学会に誘われたが仲間がどんどん大都市に出張に行くと、時給の低い昆布作業を中断して自分も出張に行きたいという思いになる。早坂潔さんの様な大先輩や頻繁に外国に出張に行かれる先輩方の背中をしっかり見て、向谷地生良さんと悦子さんの教えをしっかりと聞いていきたい。

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