月曜日になると先程の女性が電話をくれた。電話を受ける時に、まだ布団の中に居ると起床してあれこれやっていましたという印象を与えようと苦心した。電話の時間は決まっていたが、直前に目覚めた時は台所に行きコップに水を汲み、口の中を潤してわざわざ滑舌を良くしておく。本当に電話で起きた時は正直に寝ていましたと言う。昨晩、遅かったんですと言って体裁を保つ。この電話は私にとって有り難い。その人はいつもセミナーハウスの正面玄関から左に行った所で仕事をしていたが、お昼御飯を食べ終えると大体私は昆布作業の仕事場に直行する。私はべてるの家以外ではテレビを観ないが、若い時に大きなスクリーンで映画「海猿」を観た。その頃は、一刻も早く死んでしまいたいがそれが出来ない非常に辛い状況にいて、沢山の人が居たが映画館じゃないので自分の身に危険が及ばない様にしているだけであった。そういう頃を思い出すと優駿ビレッジ「アエル」やカフェぶらぶらの懇親会とか、色んなお客様がいらっしゃって昆布作業を一緒にしたりすると凄く豊かさを感じる。向谷地悦子さんが懇親会に誘って下さると「参加費ってどの位掛かるんですか?」とか「どういう人が来るんですか?」とか「どうして参加した方が良いんですか?」とか聞くが、べてるが私を拾ってくれて、もしそうでなければ危険な所に居たであろう事を思うと川村敏明先生や向谷地生良さん、向谷地悦子さんには計り知れない恩がある。教会に礼拝をしに来て下さる牧師の方が言っていた。「医者は病人を治す為に患者さんに出会う。牧師は善人ではなく罪人が赦される為に信徒に出会う」私は何者でもなかった若い頃から、川村敏明先生に診てもらい、向谷地生良先生と病院のデイケアで当事者研究を重ね、向谷地悦子さんに助けられた。映画「海猿」の中で主人公で海上保安庁の潜水士である伊藤英明は座礁した船から脱出出来ず、取り残されている要救助者を助け出す。ヒロインの加藤あいは司令室で伊藤英明が任務を終えて帰って来るのを待っている。沈みゆく船の中の司令室で電話を受けた加藤あいは伊藤英明にプロポーズされる。私は幸運にも今まで生きて来れた。色んな人の力を借りて生きて来た。
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