さて、我々統合失調症の当事者に現れる症状の一部を紹介する。急性期の症状ではないので新たな発見があるかもしれない。年が明け、私は普段は行かない、精神科ではない病院に掛かる機会があった。そこで1時間半程待ったにもかかわらず、掲示板に番号が出ない。5つか6つ、掲示板に番号が並んでいるが私の番号は出ない。おかしいなと思い係の人に「番号って、何で出ないんですか?」と聞くと「呼ばれる順番になったら出るのでしばらくお待ち下さい」。病院というのは弱っている時に来る場所であるという大前提がある。その時「べてるだから差別されている」という認知になった。もう1度、係の人に沢山並んでいる番号の中に自分の番号がない事を説明すると「処置しているんじゃないですか」との返答であった。「見掛けが変だからかな」とか「大した仕事をしてないからかな」と認知が移った後、「べてるだし精神障害者だから差別されていて番号が出ないのだ」という認知になった。「偏見・差別反対!」。しかし、その次に「研究してみよう」と思った。研究という視点に立つ事で苦労の棚上げをするのである。そして私はその場を乗り切る事が出来た。後で夕御飯の時にべてるの家を訪ねた。すると、その日は小さくミーティングが開かれる日であった。そこで恐縮しながらであったが、今日の出来事を説明する機会を得た。たくさんの意見が出される中である意見に私は「ハッ」とした。「予約の人が先で予約してなかったから番号が出なかったんじゃない」という意見であった。精神科でも予約していないと長く待たされる。その通りだ。中には「この人は何を言っているんだろう?」という感じの人も居た。しかし私は仲間のこの意見に納得した。仲間のアドバイスが私の認知を変えてくれた。統合失調症になると認知機能が故障する場合がある。
先にも述べた様に、私達の原点は生きる事の正当な理由など一つもないという事である。昔から考えると交流会や当事者研究会、更に統合失調症の学会に参加しているのは正に夢の様であった。私は年が明け名古屋市にある実家を恋しく思い返すようになった。毎年、お正月か2月頃に1週間程実家に帰省させて戴いている。私は基本的に教会で生活していたが、年明けに決まって同じ欲求に襲われる。両親に会いお墓参りをしたい、そういう想いが強くなる。年末は格安航空券でも新千歳空港から中部国際空港まで移動すると2万5千円は掛かるが、閑散期と呼ばれる年が明けてからの時期は1万2千円で行ける。私は教会の外に出てベンチに座りながら夜空を見上げた。母親は去年、還暦を迎えた。飛行機代が高くなる前に1度行ってみるか。久しぶりに帰って顔を見せて来る事にした。両親に日程を告げ実家に居てもよいかどうか許可を取った。それから費用を計算する。次に向谷地さんと川村先生に、それといつもお世話になっているべてるの家に住んでいらっしゃる方々に帰省する計画がある事を伝えた。更にべてるの家で支援をして下さる方々に夕御飯をキャンセルする事を伝えた。いつも助けて下さっている方々には恩があるので、しっかりと報告してそれから航空券を買った。この町から名古屋市に行くのは正に1日仕事であった。出発の日は午前7時に教会を出てコンビニでパンと飲み物を買いバスに乗るまでの間、浦河インというホテルのレストランで過ごした。8時半にバスに乗り新千歳空港に着いたのが正午過ぎであった。飛行機は運よく窓際であり外の景色を眺めながら過ごす事が出来た。スーツケースを預けると財布に響くので機内に持ち込んだ。中部国際空港から名鉄で一路、名古屋市内へ。市内に入ると高層ビルがたくさん眼に飛び込んできた。北海道でいえば秋の様な気候であり、高層ビルを彩るイルミネーションは教会の外から見た星空と違い、安らぎとは程遠い喧騒を感じさせ、浸っている余裕は微塵も与えてくれなかった。実家に着くと両親が毎日の生活をねぎらって下さったので、私は素直に感謝の気持ちを持つ事が出来た。
イッタラ カステヘルミ タンブラー 2個 セット 300ml IITTALA KASTEHELMI TUMBLER 2PCS キッチン 食器 北欧 グラス コップ【ラッピング対象外】
コメント