べてるの家での、ある昼休みの様子である。べてるのメンバーの人が、スマホでチェスをしながら、もう一人のべてるのメンバーの人と将棋をしているではないか。「チェスは勝ったけど、将棋はまだ（勝敗が分からない）」この日は、冷凍いちごのヘタ取りと芯取りの作業であったが、その時も、そのべてるメンバーの人が横の席に座ってくれた。「年越しはどうでした？」私が聞くと、即座に答えが返って来た。「さくら（グループホームの名前）で年越しをしたんやけどね。向谷地生良さんと向谷地宜明さんも来ていたよ。５時半位から食べ出して、７時には、メンバーの人達は部屋に戻っとったよ」「じゃあ、紅白歌合戦を観れていないんじゃないですか？」「７時に残っとったのは、向谷地生良さんと向谷地宜明さんと世話人の人と俺だけやったかな」そのべてるのメンバーの人は、ユニクロでヒートテックを購入したとも言っていた。「ネット販売で、一着、１２００円やったね」べてるの家に行った時に、女性職員にどういう眼で見られるかという事は重要である。ユニクロのヒートテックを着て、そのべてるのメンバーさんくらいの容姿なら勝てるだろうか。「１月２日は武田ハウスで麻雀大会をやりましたか？」この質問にも答えてくれた。「武田ハウスの居間がさ、家主の人が天体観測をする部屋になっとるやん。だから、べてるのメンバーさんの部屋でやったんやけどね。ある人はワインを持って来とったよ」ある人というのは、浦河町の堺町という所の道営住宅に住んでいて、３年位前に、べてるのメンバーになったけれども、統合失調症の等級が３級で、どちらかと言うと、べてるで言えば、統合失調症が軽い部類の人であった。１２月末から、職業安定所から紹介を受けたパソコンの訓練を、午前９時から午後０時まで３時間、受けるという事であった。私は、年末に、そのべてるのメンバーさんの家に遊びに行って、ジュースを飲んだりしながら、ユーチューブを観たり、音楽を聞いたりしていた。ただ、その武田ハウスの麻雀大会というのは、統合失調症を持っている人達が集まるのだが、べてる歴が２０年を超える強者も集うので、麻雀や将棋もレベルが高い。「僕は幻聴が聞こえますね。幻視も見えますね」と言うし、統合失調症の等級も２級なんだが、リカバリーしてしまっていて、何処が統合失調症なんだか分からない。べてるのメンバーさんの将棋や麻雀のレベルはというと実に高いのである。今から、べてるのメンバーになる人達が、この群れに加わろうとしても、多分、難しいものがある。会話のレベルも、先鋭化されている。東京都や大阪府や愛知県辺りから、「いざ、べてるのメンバーになって、生活するぞ」という事にしても、非常に厳しいものがある。良い方法があるとするならば、「ラーメン、食いに行きますか？」という感じだろうか。ラーメンを食べるだけなら、何とか出来るだろうし、（引きこもっていたり、精神病院に入院している人には、それも勇気が要るという話は、ごもっともである。出来ない人も、中には居るというのは、よく分かる）、そういう風にして、外の世界と関わって行かないと、ただ、浦河町に引っ越して来たというだけでは孤立する。札幌市から浦河町までのバスは、１日３本しか出ていないので、移住すると言っても、実に難しい。余程、地元で、統合失調症等の精神疾患が軽快されて、実力に自信がある人でないと、北海道外や札幌市からべてるに来るという事は、辞めておいた方が良い。
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