コカ・コーラの宴

９月２３日（金）、大雨が降りしきる中、午後１時に友人の家に行く事になっていた。不眠症に悩まされていたとはいえ、午後１０時に眠りに落ち、午前８時に起床したので、睡眠時間は１０時間も取れていて、体調は良かった。雨の中であったので、右手で傘を差し、左手で自転車を運転したと思ったら、すぐに歩いたりした。コンビニに行って、ドリンクコーナーからコカ・コーラを取り出して、店員の人に持って行く。「３３０円です。袋はお使いになりますか？」ビニール袋に入れて欲しかったが、言葉を聞き取れなかった。「はい」と店員の人に言って、タッチパネルの現金の所をタッチする。財布の小銭入れを探っていると、１０円玉が床に転がった。私は転がる１０円玉を追い掛けて、右手で拾い上げる。「ザッ」音がして振り向くと、荷物置きに置いてあった鞄が落ちそうになるのを、店員の人が手で抑えている。「すいません」財布の中の小銭を、必死で漁る。左手の財布の小銭入れから、右手に３３０円が抜き取られて、右手に収まった。それをレジに流し込み、タッチパネルを押すと、丁度で、お釣りはなく、領収書が出た。「ありがとうございました」若い店員の人はサッパリしていて感じが良い。出入り口の方に向かうと、もう一つのレジの所にも、店員の人が立っていた。店員の人は立ち位置を移動して、挨拶をせずに、「私、これでも良い」。何それ？「ありがとうございました」じゃなくて、「私、これでも良い」？意味が分からなかったが、とにかく、コンビニを出る。外は土砂降りの雨だ。自転車に鍵を差し込み、ロックを解除する。取り合えず、またがって、ペダルを漕いだが、右手に傘を差していたので、無理をする事もないと思い、自転車を降りて歩いたり、また、乗ったりを繰り返す。殆ど、歩いていた時間の方が長かったので、左手の川を眺めながら、自転車を押して歩いた。川には細長い橋が架かっている。その橋を渡ると、ウオーキングコースの様な、普通の歩道とは違う道が続いている。右手に傘を差して、左手で自転車を倒れない様にコントロールして歩く。ダダダダダダ。川面に雨が降り注ぐ。ダダダダダダ。左側に道営住宅が見えて来る。ここの一室が友人の家だ。自転車置き場に自転車を置いて、iPhone６で時間を見ると１２時２３分。早過ぎると、怒られるかなと思い、道営住宅の別棟の踊り場で座って休む。下がコンクリートだから違うが、前回、友人の家に来た時に、ユーチューブで観た体内静電気を取り除く、に近い。下が、コンクリートじゃなくて、土か草原だったら良かったのに。１５分位、休んでから、友人の家のインターホンを押す。ピーンポーン。１０秒程、待って、ドアが開く。「どうぞ。上がって下さい」友人の部屋に入ると、正面にテレビとテーブルと椅子が２脚。私はコンビニで購入した３３０円のコカ・コーラを鞄から取り出す。コンビニでは、鞄に入ると判断したのか、ビニール袋に入っていない商品が渡された。私は椅子に腰掛ける。テレビのある部屋の左側の部屋に、木の引き戸を少しだけ開けて、友人の話し声が聞こえる。携帯電話で誰かと話しているんだろうか。誰と話しているんだろう？気になって、隙間から見えないかなとも思ったけど、覗き込んで、眼が合ったりしたら失礼だ。コカ・コーラを飲もうとしたが、プラスチックのコップが出て来るはずである。それまで待とう。トイレの位置は、座っている位置から右側の引き戸を開けて左側。白の洋式のトイレ。洗面所は、座っている椅子から右側の引き戸を開けて右側。鏡と手洗いがある。用を足した後に、流すと、トイレ本体で、水が流れて手を洗う事が出来るが、洗面所で石鹸を付けて洗った方が、しっかり洗える。石澤さんの家に来るまで、土砂降りの雨の中を自転車で走って来たので、お腹が冷えて、用を足そうと思っていたが、部屋の中が暖かかったので、ユーチューブかプレイステーション４の準備が出来るまで、待つ事にした。友人と遊ぶだけとはいえ、一年前に初めて知り合ったばかりの、赤の他人である。油断大敵。友人がプレイステーション４を持って、左側の部屋から出て来た。何か隠している様に言った。「昨日、ゲームやっていて、寝落ちしちゃった」仲間に、私が来た事を電話で報告していたのかな。急いで、プレイステーション４の準備をし出した。「向谷地さんに言う・・・」ん？小さな声で、聞こえた様な気がしたが、急いで、プレイステーション４の準備をしていたから、考えている事が漏れただけだと判断した。ゲームをやっていて、生活が回って行く訳がない。ストリートファイターというゲームをやる事になった。友人は沢山、重なったプラスチックのコップから２つをテーブルに置いた。「コーラ、飲みます？」私は、すかさず、コカ・コーラを進めた。「いただきます」私は友人のコップにコーラを注いだ。ポテトチップスとか、お菓子も買って来とけば良かったけど、良いか。いちご作業の工賃は、生活出来ない時に一括でもらっている。仕送りだけで生活している様なものなので、お菓子の様なちょっとした出費でも、節約、節約、である。ストリートファイターで、私が使うキャラクターは、いつも、ケンかリュウ。友人はガイル。アーケードモードのノーマルレベルだと、ラスボスが倒せないが、ラスボスまで辿り着けば良しとしている。この日のアーケードモードのレベルはハード。最初の３人は辛うじて倒せたが、４人目から強くて倒せない。すぐに、敗けて、コンティニュー画面になって、再トライするが、敗けてしまう。もう、コンティニューしなくて良いや、という事で、バーサスモードで、友人と戦うが、やり込みの人は、コンピューターのハードレベルよりも強い。多分、手加減しているんだろうと思ったが、友人は強い。ザンギェフとか、弱いキャラクターを使った時に、辛うじて、２勝１敗で、勝利した。プラスチックのコップに入ったコカ・コーラは、どんどん、減って行った。コップにコーラを一杯に注ぐと、半分が泡になったので、「シュワ―ッ」という音が止んで、黒い部分がコップの半分になった所で、もう半分のコーラをコップに注ぐ。１．５リットルなんて、すぐになくなる。「この前も、友達が家に来て、映画を３本も観て、夜の１０時まで居たからね」私はストリートファイターに飽きて来ていた。「鉄拳、やりませんか？」「良いよ」鉄拳を、午後５時までやった所で、「そろそろ・・・」と切り出す。「そろそろ、帰ります。６時から夕御飯なので」「分かった。じゃあ、３戦だけしよ？」３戦は１勝２敗。友人がパンダを使った時だけ、勝てた。