7月29日(土)、自転車でサイクリングに行こうとすると、浦河インから出て来た知り合いの女性に遭遇した。「暇だったから、浦河インでお茶してた」そのまま会話をしながら、パン屋さんの「ぱんぱかぱん」に一緒に向かった。自動販売機で、私にお茶と水を買ってくれた。「お茶と水くらい、自分で買えます」貧乏人を演じようと思ったので、敢えて言わなかった。世間には、助けるのが上手な人と、助けられるのが上手な人が居る。可哀想な人が居ると、助けてあげたくなるという心理は分かる。「ぱんぱかぱん」に到着すると、パンを一つ買ってくれた。セブンイレブン浦河築地店の店員さんで、20代前半の店員さんが居る。私はその店員さんの成長を見守っている。名古屋市だと、普通で見向きもされないが、北海道の地方都市に居ると、凄い事になる事がある。知り合いの女性と、ぱんぱかぱんの外の椅子に座って話をした。「深川市の生活はどうですか?」「田舎だから、田んぼばっかりだよ」「買い物は旭川市に行くんですか?」「ううん。札幌。札幌駅まで電車で1時間なの。旭川駅までは電車で20分。どうせだから、札幌まで出ちゃうのよ」「10年前に旭川医科大学医学部を受験しました。数学は解けるかなと思っていましたが、4問の内、完答出来た問題は1問もありませんでした」「入ってからが大変だって言っていたよ」「だから、北海道大学を総合入試理系で受験して、物理学科か数学科に進む感じが良かったかもしれません。両親も医学部は国公立大学しか、お金を出せないから、私立大学は無理だと言っていましたし。北大じゃなくても、私立大学の物理学科か数学科を狙って勉強しておけば良かったかもしれませんね」ぱんぱかぱんで購入したパンは、外を覆っている皮が硬くて食べにくい。会話をしながら乱暴に食べていると、歯が欠けそうで怖かったので、後で食べる事にした。「ぱんぱかぱんは、友達と来る事もあるんですよ」「海、綺麗だよね」「深川市は、海はあるんですか?」「山があるよ。内陸部だから、海はないわね」知り合いの女性は看護学校を卒業した看護師さんで、旦那さんは札幌医科大学の小児科の医学博士である。早坂潔さんだったら、突っ込みを入れるだろうなと思った。「あんた、何に困っているのよ?」人間の欲望には、際限がない。「雨露を凌げる部屋があって、三食をきっちり食べている。それだって、当たり前の事じゃないんだぞ」そういう事を聞いて、心がふと軽くなる人だって居るはずである。郵便局に行って、「郵便局に行けて良かったね。〇を付けようね」という感じで良い。「知り合いの女性に論文を2通郵送するのに掛かったお金が350円で済んだね。賢いお金の使い方をしたね。郵便局を使えたね」そのレベルで満足しておけば良いのである。台所ばかり大理石で出来ていても、トイレがないと安心出来ない。液晶テレビをこれ以上薄くしても、誰も得をしない。トイレがないと安心出来ないという部分は、つながりがないと安心出来ないという事である。知り合いの女性と見た、浦河町の7月の末の海は綺麗であった。「札幌行きのバスって、インターネットで申し込んで、事前に支払うんだね」知り合いの女性は仕切りに、スマホを気にしていた。「堺町のバス停から、11時のバスだからさ。間に合う様に行かないと」海と私とスマホと。知り合いの女性の視線は3カ所を行ったり来たりした。私は堺町のバス停には付いて行かなかった。そこは一人が良いという事は察しが付いていた。「じゃあ、行くね」挨拶を交わすと、知り合いの女性は去って行った。もう2度と会う事がないかもしれない、昔、少し恋心を抱いた、小児科医の旦那さんの居る女性との、偶然の再会であった。
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