「良い苦労をする」って何?

べてるな日々

べてるの家の小川和加子さんに言われた言葉を、今でも憶えている。「苦労はしなくても駄目だけど、し過ぎても駄目なんだわ。だから、難しいんだわ」苦労して働いて、生活をしている人達を目の当たりにして、「もっと楽して生活している人、居るじゃん」と思った。私が御昼御飯を食べている「おけいちゃん食堂」で、べてるの家の吉田公子さんは、「小川さん、働いているよ」と声掛けをしていた。「良い苦労をする」という事だろうか。「都会で色々と経験してみたいな。田舎でガツガツして暮らすの、嫌だな」そんな事を思ったりもした。ニューべてるの1階で、小川和加子さんが主催して、「べてる喫茶」という集まりを開いた事がある。セブンイレブンで三ツ矢サイダーとオレンジジュースとプリンとお菓子を買って来て、皆で談笑する。そういう事をやっていると、統合失調症という暗い現実が忘れられて行く。しかし、もっと深いのである。そこで、私と同じく統合失調症を抱えている人と、殆ど初めて話をする事が出来た。ブルース・ストリング・スティーンというロックバンドが好きでアメリカのニューヨークまでライブを観に行った事がある人であった。成田空港からニューヨークまで、飛行機で13時間位掛かるらしい。そんな挑戦は出来ないので、尊敬の気持ちを抱かずにはいられなかった。「夢や幻は良い」と思った。そして、その人が挑戦している北海道と千葉県の二拠点生活。これが羨ましかった。「べてる喫茶」で話をした時も、ブルース・ストリング・スティーンというロックバンドが好きでニューヨークまでライブを観に行ったという事を中心に聞いていた。「そういう事が出来る人は、格好良いな」と思った。せせこましく働いている人を見ていると、腹が立って来るけど、金はないけど、一発やってやるぜみたいなのが、男の人生だと思った。「テレビで観たって同じでしょ。危ないから止めときな」とかいうのは違う。「私はね、苦労して、なんぼだと思っているよ」小川和加子さんの言葉が頭に残っている。べてるの家のウェブセミナーを観たが、講師の人が喋っているのは面白くないけど、べてるの家の人が喋っているのが面白かった。あのウェブセミナーの感想は様々だろうが、吉田公子さんに言わせると、「商品を売るんじゃなくて、人を売る」という事であった。健常者は勝ちで、障害者は敗け。これが悔しい。「べてるの家の人が喋っている場面をもっと観たいわ」と視聴者に思わせる事である。「この人、面白そう」と思わせた方が勝ちである。世の中の人達は、面白い人物との出会いを楽しみにしている。

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